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AI活用
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中小企業診断士のAI活用|業務選定から効果測定まで、5つの判断基準

中小企業診断士のAI活用を、業務選定・情報管理・人の確認・効果測定で整理。架空の見積案件と、そのまま使える業務整理シートで、相談前の準備を具体化します。

KeiBan編集部

中小企業診断士のAI活用には、診断士自身の調査・資料作成を助ける使い方と、支援先企業の仕事にAIを取り入れる使い方があります。企業の導入担当者が相談先を選ぶときは、「どのAIに詳しいか」に加えて、「自社のどの仕事を、どの基準で改善するか」を一緒に決められるかが大切です。

この記事では、中小企業の経営者・担当者に向けて、業務の選び方、AIに渡す情報、人が確認する範囲、効果の測り方を整理します。途中では架空の見積案件を使い、社内確認に回せる文書まで作ります。診断士自身が生成AIを業務で使う場合にも、同じ確認手順を応用できます。

中小企業診断士にAI活用を相談するとき、何を確認するか

中小企業診断士は、経営の診断・助言を行う専門家です。資格制度については、経済産業省の中小企業診断士の案内で確認できます。

AI導入で経営の視点を取り入れるなら、「文章が作れるようになった」で終わらず、その文章を誰が使い、どの仕事が変わり、時間・費用・品質に何が起きたかを確かめます。たとえば見積書の下書きが早くできても、原価の確認に時間がかかるようになれば、業務全体では改善していないかもしれません。

資格だけから、すべてのAI製品の設定やシステム連携まで対応できるとは判断できません。相談前に、業務整理、研修、設定、連携、導入後の支援のどこまでを依頼できるか、誰が担当するかを確認しましょう。

KeiBanでは、中小企業診断士の齋藤翔平が研修・支援設計・評価基準を監修しています。個別のAI回答をすべて事前確認するサービスではありません。背景と範囲は監修者・監修方針で公開しています。

AIを使う業務を選ぶ5つの判断基準

以下は、最初の試行を小さく設計するためにKeiBan編集部が整理した判断基準です。公的な認定基準や導入効果の予測式ではありません。

1.繰り返し発生し、困りごとを具体的に説明できるか

「営業を効率化したい」から一段絞り、「見積を承認に回すため、金額と確認事項を整理する」「過去の作業メモから手順書の初稿を作る」と書きます。

月に何件発生するか、誰が何分使うか、どこで手戻りが起きるかを記録してください。頻度が低い仕事では、準備の負担に見合わない場合があります。まずは対象を1業務、利用者を少人数に絞ると、変化を確かめやすくなります。

2.AIを使った後の成果物を決められるか

完成形を「AIの回答」ではなく、「上司が確認する見積検討メモ」「担当者が修正して使う手順書」「会議で検討する選択肢の一覧」と定めます。

読み手、必要項目、根拠の示し方、使ってはいけない表現まで決めると、回答の良し悪しを比較できます。今のExcelや文書テンプレートで十分にできる仕事なら、そのまま使う選択肢も残します。

3.入力してよい情報を、使う前に分けられるか

初回は公開情報か、顧客・従業員・取引先を識別できない教材データを使います。実際の資料を使う段階では、会社のルールと契約に沿って、対象情報、利用するサービス・プラン、保存先、共有先、保存期間を確認します。

名前を消すだけで十分とは限りません。案件の説明や複数の情報の組み合わせから相手が分かることもあります。入力できる範囲が決まらない場合は、実データを渡す前に確認してください。

IPAはAIの課題として、個人情報・営業秘密の漏洩や偽情報・誤情報を挙げています。社内説明にはIPAのAIセキュリティ情報も参照できます。ルールを文章にする際は、AI社内利用規程テンプレートを自社の運用に合わせて調整してください。

4.人が正誤を確かめ、最終判断できるか

数字は元資料と計算式、事実は一次情報、業務上の条件は社内ルールに照らして確認します。AIが根拠らしいURLを書いた場合も、そのページに該当情報があるかまで見ます。

診断士が生成AIで調査や報告書を作る場合も、存在しない統計や発言を混ぜないこと、確認できない項目を未確認と残すことが必要です。AIが整理した仮説と、担当者が確かめた事実を分けると、支援先に説明しやすくなります。

価格の承認、契約の締結、顧客への送付などは、権限を持つ人が判断します。確認できる担当者がいない業務は、最初の試行には選ばず、確認できる範囲から始めましょう。

5.準備・確認・修正を含めて効果を測れるか

測る時間は、AIが答えを出すまでの時間だけではありません。資料準備、入力、出力の確認、修正、社内承認までを含めます。AIを使わない場合も同じ作業範囲で測って比較してください。

あわせて、修正が必要だった件数、実際に使えた成果物、次の案件でも使われたかを残します。入力に許されない情報が必要になった、確認の負担が増えた、必要品質を満たせなかった場合は、対象業務や手順を見直します。

架空の見積案件で、AIに任せる範囲を具体化する

ここからは、この記事のために作成した教材例です。実在企業の案件、顧客の導入事例、AI製品の実測結果ではありません。金額と社内基準はすべて架空で、税は考慮しません。

入力条件をそろえる

通常売価は1個10,000円、商品原価は1個6,800円、数量は100個です。顧客から15%の値引き依頼が来ました。商品原価と数量は変わらず、送料・決済手数料・追加作業費は未確認とします。

教材上の社内基準は「商品原価だけで計算した粗利率が25%未満の案件は、営業責任者の承認を必要とする」です。この25%は教材用の設定で、他社や他業種に推奨する水準ではありません。

AIに依頼する仕事は、承認前の確認メモの下書きです。値引きを受けるかどうかの決定や、顧客への回答は含めません。

指示文の例

「以下の教材データだけを使い、値引き案件の社内確認メモを作ってください。通常売価は1個10,000円、商品原価は1個6,800円、数量は100個、値引き依頼は15%です。商品原価と数量は一定、税は考慮しません。送料・決済手数料・追加作業費は未確認です。商品原価だけで計算した粗利率25%未満は営業責任者の承認が必要、という教材上の基準があります。出力は、入力条件、計算式と結果、基準との比較、不足情報、責任者が判断することの順にしてください。不足する金額を推測で補わず、未確認と書いてください。値引きの承認や顧客への回答はしないでください。」

計算を別に確認する

値引き前の売上は10,000円×100個=1,000,000円、商品原価は6,800円×100個=680,000円です。粗利は320,000円、粗利率は320,000円÷1,000,000円=32%です。

15%値引き後の売価は8,500円、売上は850,000円です。商品原価は680,000円なので、粗利は170,000円、粗利率は170,000円÷850,000円=20%になります。

粗利額は150,000円減り、値引き前の粗利額に対する減少率は150,000円÷320,000円=46.875%です。「32%から15を引いて17%」とは計算しません。粗利率の分母は値引き後の売上です。

商品原価だけを前提に粗利率25%を保つ売価は、6,800円÷(1−0.25)=約9,066.67円です。1円単位で基準を下回らない価格なら9,067円となります。ただし、これは追加費用や顧客との条件を考慮した推奨価格ではありません。

計算の確認には表計算や値引きインパクト計算ツールも使えます。計算が合っていることと、案件を受けてよいことは、別に確認します。

社内確認に回すメモの完成例

案件名:教材用・商品Aの100個受注。実在の顧客・案件ではありません。

確認した条件:通常売価10,000円/個、商品原価6,800円/個、数量100個。15%の値引き依頼あり。商品原価と数量は一定、税は対象外。

計算結果:値引き後売価8,500円/個、売上850,000円、商品原価680,000円、粗利170,000円、粗利率20%。通常条件からの粗利減少額は150,000円。

基準との比較:教材上の承認基準25%を下回るため、営業責任者への確認が必要。承認未了。営業責任者の判断待ち。

未確認:送料、決済手数料、追加作業費、納期、入金条件、追加受注の確度。追加費用がある場合の案件採算を再計算する。

検討する選択肢:値引き率を見直す、仕様・提供範囲を調整する、数量条件を確認する。追加受注があるとは仮定しない。

責任者が判断すること:未確認情報を補ったうえで、通常基準を満たす条件を提案するか、例外承認を検討するか、受注を見送るかを決める。顧客への回答は承認後に担当者が行う。

このメモは編集部が計算を確認して作成した完成見本です。特定のAIが同じ文章を出力した記録ではありません。自社で試す際は、実際の出力と人が修正した箇所を残してください。

自社では何から始めるか、相談できます。

取り組む業務と必要な支援を整理し、内容・費用・期間を事前にご案内します。

最初の2週間で確かめること

2週間は成果を約束する期間ではなく、試行を区切るための目安です。月次業務など、発生頻度が低い仕事では、その業務が一巡する期間を設定します。

試す前:対象と確認基準を決める

1業務を選び、現在の作業時間と完成文書を残します。AIに入力する情報、人が確認する項目、利用を止める条件を決め、まずは教材データで試します。

試行中:回答より、完成した仕事を記録する

許可された範囲の実業務で試し、準備から確認・修正までの時間を測ります。難易度が大きく違う案件を単純比較せず、どのような条件の仕事だったかも記録します。

「AIを使った回数」だけでは、定着は分かりません。実際に使えた文書、差し戻し、修正の理由、次の案件での再利用を確認します。社員が使わない場合の切り分けには、ChatGPTを社員が使わない原因と立て直し手順も参考になります。

区切りの日:続ける、直す、止めるを決める

品質が保たれ、確認を含めた負担が減り、次の仕事でも使えるなら対象を少し広げます。修正が多ければ指示や入力項目を直し、負担が増えるなら元の手順に戻して構いません。

時間短縮を金額に換算するときも、「使える時間が増えたこと」と「実際の支出が減ったこと」を分けます。給与が変わらない場合、短縮時間×時給相当額を、そのまま現金の削減額とは扱いません。検討項目はAI導入費用対効果チェックシートでも整理できます。

相談前に使える、AI活用の業務整理シート

次の項目をコピーし、分かるところだけ埋めてください。機密の数値や顧客名を、初回の相談文に書く必要はありません。

取り組みたい仕事:どの部署の、どんな場面で発生する作業か。

困っていること:時間がかかる部分、手戻りが起きる部分、判断に迷う部分。

頻度と担当:月のおおよその件数、作業する人、確認する人。

現在の進め方:使っている文書・表計算・AIなどと、今の所要時間。

欲しい成果物:誰が読む、何のための文書・一覧・手順か。

情報の制約:入力を認めている環境、共有できない情報、社内で確認が必要な事項。

試行の評価:時間、品質、修正回数、再利用のうち、何を見るか。

試行を止める条件:許可されない情報が必要になった、確認できない誤りが出た、負担が増えた場合など、事前に決めておくこと。

振り返る日:誰が、いつ、続ける・直す・止めるを判断するか。

相談したい範囲:社員向け研修、対象業務の整理、設定や手順づくり、導入後の振り返り。

研修・導入・継続支援をどう選ぶか

社員が基本操作や回答の確認方法を学ぶ段階なら、研修が選択肢になります。基礎は分かるものの自社の仕事に取り入れられない場合は、対象業務と手順の整理が必要です。使い始めた後に利用が続かない、効果を説明できない場合は、利用状況と評価方法を見直します。

支援会社を比較するときは、対象業務、演習で作る成果物、人が確認する範囲、導入後の対応、料金に含む作業を同じ条件で尋ねてください。法人向けAI研修の選定基準には、見積もり前に整理する比較項目があります。

KeiBanは、オンライン教材で学ぶAI導入研修、自社業務への導入・活用支援、継続的な活用・経営支援を案内しています。相談はフォームから、やり取りはメール・チャットを基本に進めます。支援内容・費用・期間は、対象業務や人数、必要な範囲を確認して個別に案内します。

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AIツール単体の月額プランと、研修・導入・活用支援の費用は別です。ツールの契約が必要かどうかも、業務と利用環境に合わせて確認します。

業務が決まっていない場合も、「見積の確認に時間がかかる」「社内の手順を文書化したい」といった一言から相談できます。上の整理シートのうち、分かる項目を添えてお知らせください。

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取り組む業務と必要な支援を整理し、内容・費用・期間を事前にご案内します。